業界の信用を著しく貶める事件

コロプラが自社ゲームタイトルのセールスランキングを操作する目的で、取引先に自社資金を用いて[課金するよう依頼していた事件][/post/25269]が発覚した。これはコロプラという一企業のみではなく、ゲーム業界全体に影響することを自覚すべき事件である。

一部では今回の事件で公表された金額が 850 万円であったことを指して、AppStore や GooglePlay など主要なアプリストアではランキング上位のゲームタイトルが稼ぎ出す金額の足元にも及ばないことから問題を軽視する声もあるが、そもそも本質としてこれは金額の多寡に関する問題ではない。元より悪いことは悪いのだ。

また金額の面から言っても、ざっくりとだが現状のゲームジャンルではランキング上位が全体利益の大半を稼ぎ出し、ランキング上位以外はある程度金額的な差が無視できるほどに均一化した状態であるため、ランキング上位の収益と 850 万円を比べることにあまり意味はない。

今回の事件は社会に対してゲーム業界全体の信用を落とす事件と認識すべきだろう。

コンプライアンス重視の世の中であってはならない失態

コロプラは東証 1 部上場の企業である。同人を悪く言う意図ではないと前置きしつつ、上場企業というのは同人サークルなどとは比べ物にならないほど社会に対する責任が課せられる立場だ。そのような企業が自社資金を提供して課金を依頼するという循環取引/粉飾ともとれるようなことをしでかし、さらにその依頼を受諾する企業が存在することが判明したのがこの事件である。

この事件を当事者とされる 2 名の従業員に責任を求める声があるかもしれないが、通常このような売上を偽装するような行為が従業員によって行われた場合、真に問うべきはそのような行為に走らざるを得ない社内環境としてしまった上層部の責任だ。コロプラが上場企業としてどこまでの対応をとるのかは、その点も含めて注視した方が良いように思う。

ゲーム会社という存在が社会に本当に認められるようになるためには、このようなことをしでかした企業に対して厳しい姿勢を貫くことが必要だ。それは直接の取引先などという意味ではなく、ゲームに関する活動をしている全ての人々に求める内容となるはずだ。