オープンワールドのハンティングゲーム『theHunter: Call of the Wild』は 2017 年に発売された作品だが、2022 年になった今から始めるのも悪くない良質な作品だ。

FPS でよくある大量のゾンビをなぎ倒すようなトリガーハッピーゲームではなく、フィールドに残された動物の痕跡をたどり足音や鳴き声に注意しながら獲物への距離を詰め、息を殺して慎重に隙を伺い仕留めるゲーム性が特徴的。明確に動物を手軽に乱獲したいプレイヤーには全く合わないが、じっくりとハンティングに挑戦したいプレイヤーにはオススメできる作品となっている。

この作品に魅了されたハンターゲーマー達は気づけばフィールドで立派な角を持ったシカを探し求めて、今日も本作を遊んでいる。

  • スポーツハンティング
  • FPS
  • オープンワールド
  • シングルプレイ/マルチプレイ

ゲーム性、狩猟の流れ

狩猟の流れ

まずはゲームの根幹をなす狩りの流れを紹介する。狩りのスタイルは慣れてくれば大きく「自分から獲物に距離を詰める」スタイルと「鳴き声や匂いで獲物をおびき寄せる」スタイルの 2 つに大別されるが、ゲーム開始直後は装備に乏しく前者の自ら獲物に接近していくことが必要になるので前者を紹介する。

獲物の存在を認識

フィールドを散策して歩き回っていると、動物の痕跡が存在することに気が付く。具体的には動物の足跡やフンといったオブジェクトが視界にハイライトして表示される。足跡をインタラクトするとその足跡の向き先が扇状で表示されるので、ある程度どちらに獲物が進んでいったのかが分かるようになる。

そうして痕跡を追うことで獲物への距離を詰めていくのだが、時には獲物に警戒されて威嚇されることもあるし、気づかずに求愛の鳴き声を発している様子をうかがえることもある。言葉にしてみれば簡単に距離を詰めていけるように感じるが、慣れるまでは結構しんどい。理由は獲物に接近がバレるからだ。

動物にバレないために

動物たちがプレイヤーを認識する方法には大きく「視覚」「聴覚」「嗅覚」が影響している。

まずは視覚、立ち上がっていれば当然目立つ。立ち寄りしゃがみ、しゃがみより伏せの姿勢が動物からプレイヤーの姿を隠してくれる。目立たない姿勢は当然ながら速度が落ちるため適宜様子を見て姿勢を変える必要がある。もちろん姿勢だけではなく茂みなどへ隠れることも重要だ。

次に聴覚、銃声はもちろん草木をかき分ける音も動物は感知する。大自然が相手なので舗装された道路以外に手つかずの森林を歩き回ることが大半で、走れば当然足音が響くし草むらに駆け込めば大きな音がそこら中に響き渡る。反対にうまく動物を誘引するような鳴き声を聞かせてやれば、興味を持った動物をおびき寄せることもできる。

最後に嗅覚、風下に立ってしまえばプレイヤーの匂いを察知した動物たちは警戒して逃げ去ってしまう。匂い消しでいくらか緩和できるが、基本的には風上を意識して立ち回ることが重要。

このように獲物への距離を詰めていく中でも、獲物の移動速度を上回るようにしつつ姿を隠し、足音に注意し、風下に立たないようにする必要がある。

獲物を視認

見晴らしが良ければ痕跡を追うだけで獲物を視認できるが、大抵は草木が邪魔をして距離を詰めるだけでは足りない。双眼鏡で十分近づいたはずの獲物がどこにいるのかを探す必要がある。草むらに隠れている動物は当然見えづらいし、初めての獲物であれば姿が想像できないので尚更見つけにくいだろう。

初心者はまずは見晴らしのいい水場などの近くで痕跡を探すと獲物を視認しやすい。

獲物を狙う、ヘッドショットは厳禁

獲物を狙う

獲物を視認出来たらあとは仕留めるだけだが、ここでも注意が必要となる。

これはスポーツハンティングなので、ゾンビゲームのように何も考えずヘッドショットを狙えば良いわけではない。頭蓋骨は想像している以上に硬いのでそもそも仕留めきれないこともあるが、トロフィーとして保存することもあるので重要な臓器を狙って仕留めることが大事となる。

もちろんヘッドショットでも脳を破壊することができれば仕留めることができるが、肺や心臓といった致命的な臓器を狙うことが推奨されている。内臓を狙う際も脚を避ける射線を意識して弾丸が適切な位置に着弾させたい。動物たちは生命力にあふれているため、生半可な狙いでは致命傷を負わせられずその場合は傷ついた獲物を追跡し直すところからやり直しだ。

仕留めた獲物を回収

ハンティングは仕留めた獲物を回収してようやく終わる。

地に倒れた獲物まで歩み寄ったらインタラクトして回収する必要がある。実際の狩猟と違って血抜きなどを行う必要はなく、どういった射線で着弾しどのようにダメージを負わせたのかや獲物のサイズや評価点を確認したら報酬が受け取れる。

集めた報酬で装備を補給したり新しい装備を購入したりしていくことになる。また回収と同時に経験値も得ることができ、レベルアップすることでスキルアップしていくことが可能となっている。

「何発で仕留めたか」「どれだけ立派な獲物だったか」「致命傷を負わせて仕留めたか」「適切な弾丸を選択したか」といった指標で評価が行われ、気に入った獲物は剝製にしてトロフィーロッジに飾りフレンドを招くこともできる。動物たちの毛並みにも種類があり、アルビノといった珍しい突然変異などもフィールドでは遭遇することがある。

ここまでで説明した獲物を探し、獲物を仕留め、トロフィーロッジを充実させていく流れが本作の王道の楽しみ方だろう。狩猟せずに綺麗な自然の中を散策するだけという楽しみ方もあるだろう。

不満点

主な楽しみ方は狩猟の流れそのものに濃縮されているが、不満点も当然ある。それは圧倒的なまでのゲームに慣れるまでの不親切さと難しさだ。

本体のみを購入して DLC を購入しなかったプレイヤーにとって、この作品の初期マップというのはあまりにも難易度が高い。起伏はあるし草木は背が高く視界が開けないフィールドに放り込まれたプレイヤーは、獲物を視認することもできずに逃げていく気配だけを延々と味わうことになり挫折していくことが多い。

DLC マップの中には初心者にお勧めできる動物密度の高いマップもあり存分に練習ができるのだが、そもそも本作の楽しみを知る前に初期マップで挫折するので DLC 購入に至らないという嘆かわしい構造となっているので、新規購入者はぜひ DLC マップだけでも同時に購入してそこから始めてほしい。ストーリーは各マップに存在するが、マップ間で強く結びつきがあるわけでもないのでどのマップから初めても問題ない。

初心者に強く勧めたいマップ DLC は下記。

  • Silver Ridge Peaks (シルバーリッジ・ピークス)
  • Te Awaroa National Park (テ・アワロア国立公園)
  • Cuatro Colinas Game Reserve (クアトロ・コリナス狩猟区)