PC ゲーマーは本当に違法ユーザーの巣窟なのか?

「PC ゲーマーは乞食で金を払わずに違法な手段でゲームをダウンロードする『割れ厨』ばかり」、そんな発言は各ゲームハードユーザー同士が激しく議論を交わす場において良く見られる文句だ。だが果たして本当にそうだろうか?

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偏見は根強く、なにかにつけてまるで枕詞かのようにこのような発言を投げかけられる PC ゲーマーだが、世界有数の経済誌「フォーブス」が掲載した違法な海賊行為(piracy)に関する調査報告を見ると、そのレッテル貼りとも言える決めつけが誤った認識によって行われていることが判明した。

海賊行為の実態

「前提として、確かに P2P を用いたゲームの海賊行為はとても容易で一般的である」とオールボー大学の Anders Drachen 氏は述べているが、同時に「しかし我々の調査の結果一般に言われている規模の違法行為の蔓延ではないことが分かった」と従来の意見とは異なる見解を告げている。

コペンハーゲン・ビジネス・スクールとウォータールー大学が行った調査では、ファイル共有ソフトとして有名な「BitTorrent」上にて違法に共有されている各ハード向けゲームを監視し、その共有に荷担し違法にダウンロードを行った IP アドレスの数を計測した。

その結果、BitTorrent を用いてゲームを違法にダウンロードしていたユーザーは全世界で 1260 万人に留まることが判明した。もちろん無視できる数字ではないし無視されるべき数字でもないが、2012 年にカナダのコンピュータ関連団体が主張してきた数字には到底及ばない数であった。

1 億 2500 万人の Steam ユーザーと 1260 万人の違法ユーザー

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4500 個のゲームと 4 億個のユーザーコンテンツを持つ PC ゲームプラットフォームとして世界最大級の規模を誇る「Steam」は 2015 年、現在のアクティブユーザー数が 1 億 2500 万人を記録したことを発表した。

この発表と一連の海賊行為の実態調査から分かることは、確かに PC ゲーマーの中には違法な行為に手を染めるユーザーも無視できない一定数が存在するが、それは全体の中の一部に過ぎず、大多数のユーザーは正規ユーザーであるということだ。

調査によって判明した「1260 万人の違法ユーザー」は PC 向けゲームだけでなく、全てのハードを対象にした違法な海賊行為を行ったユーザーの総数である。仮に 1260 万人の全てが PC ゲームの海賊行為に手を染めていたとしても、Steam の残る 1 億 1240 万人は善良なままだということになる。

つまり冒頭で述べた「PC ゲーマーは『割れ厨』ばかり」という意見は、全体の一部のみを指した的外れな意見と言える。

他ハードユーザーのモラルが高いわけではない

こうまで「PC ゲーマーは『割れ厨』ばかり」という誤った認識が蔓延してしまった一因として、従来ゲームの海賊行為に関する調査報告のほとんどがゲーム産業関連の団体から提出されていたことがあるとレポートは告げている。

「ゲーム業界にとって深刻な問題の一つである海賊行為について、業界は少しでも問題を改善するために深刻な問題であると関心を惹く必要があり、潜在的に海賊行為の規模について過大評価してしまうことがある」

また、他ハードに比べ PC の海賊行為の割合が多い理由は「単に家庭用ゲーム機で海賊行為を行うには本体を改造する必要があるため」であり、海賊行為の割合が PC に比べ低いことが必ずしもユーザーのモラルの高さを表しているわけではないことに留意したい。

いずれにせよ海賊行為がゲーム業界にとって深刻な問題であることに変わりはなく、仮にいずれのハードでも海賊行為が容易になったとしても、その行為が回り回ってゲームを楽しむ自分たちの首を絞めることを、個々のユーザーたちが理解することが言わずもがな重要だ。