無機質で不思議で広大な世界を探索する

Limasse Five よりアドベンチャーゲーム『NaissanceE』が 2014 年 2 月 14 日に販売となった。

本作は一人称視点で 無機質で不思議で広大な世界を探索 する独特な雰囲気の作品となっており、元々 FarCry 用の MOD として開発されたものという出自から Steam 以外にもMOD 版が公開されている。

『NaissanceE』は芸術的な経験をもたらす哲学の旅です。

原始的な神秘的な構造体で行われる冒険。

Silyl Ether Net のレビューは「某漫画を彷彿とさせる超構造物群の中で光を追い求め走り廻るアクションアドヴェンチャー」で、maguro_outbreakは「昔ながらの FPS によくあるパルクール的なレベルデザインからシューティング要素を完璧に取り除いたような感覚」と評しており、omamama のレビューは「SF 風味と夢が入り混じった光景の中を探索、時々簡単な謎解きする」になっている。

幻想的で狂気的で悪夢的な精神世界

実際にプレイしてみた感想として、プレイヤーが弐瓶勉氏の漫画「BLAME!」のように無機質で広大な世界を冒険することになる本作は間違いなく人を選ぶゲームだ。それも極端に。無機的な構造物、光と影の調和、そういったものに心躍ったことのある人ならば気に入るかもしれない。

パズル要素は多少存在するがメイン要素として考えるには足りない。やはりこのゲームの主題は無機的で語りがたい精神世界を彷徨う一点なのだと感じる。圧倒的な“世界”というものに呑まれていく、押し潰されていくゲームなのだろう。例えようのない不思議な世界を持ったゲームだ。その世界の雰囲気こそがこの作品の最大の魅力だ。

『BLAME!』のように探索者たちが歩いた世界を夢想するに最適の作品だった。語られない物語を自ら見いだし想像できることが何より楽しい。数時間程度のボリュームにほどよくまとまっているが、価格対比で考えるとかなり短めに分類されると感じた。しかし圧倒的だ。

カオス化し無意味に無秩序に、そして無限に広がる超構造体。幻想的でそして狂気的で悪夢的な精神世界。

ハマる人にはとことんこの世界は符合するだろう。だが、何度も書いてあるようによほど波長の合う人以外にはオススメできないゲーム。

ではなぜオススメとして紹介するのかというと、囚われ続ける世界、無機的故に狂気を感じる世界に鳥肌の立つ体験をできるかもしれないというチャンスをみすみす見逃すには惜しすぎると感じたので、どうしても紹介したかった。

NaissanceE』は Steam にて販売されている。