平均的なゲーマーの年齢は 34 歳。そういった平均的なゲーマー世代にとって注目の新作が次々とリリースされる 2020 年に突入したことは、ある種の恐怖感を伴うことなのかもしれない。

Nathan Warby が投稿したこの恐怖に関するコラムを紹介する。

減りゆく余暇と反比例するゲーム

2020 年は CD Projekt の新作『Cyberpunk 2077』を筆頭に、プレイ時間が膨大になると見込まれる作品のリリースが控えている。Warby はこれらの自身を蝕む未クリアのゲームの山が積み重なっていくことに、熱望と同時にくじけそうになるという。

最近の統計として平均的なゲーマーの年齢は 34 歳と報告されている。それに照らし合わせてみると彼らは『Halo 3』などで興奮した青春を過ごし、今では仕事を得て責任のある立場になっている。モンスターエナジーとドリトスは今でも彼らに活力を与えるが、それも以前ほどの効力は望めないだろう。

現実での生活が忙しくなり余暇は減りつつあるが、ゲームはかつてないほど巨大化し幅広いものになりつつある。

Red Dead Redemption 2

CD Projekt がオープンワールドタイトルを投入するように、ゲームの辞め時を見つけづらいライブサービスがゲーム業界のトレンドとなっている。しかし現在の AAA 作品は夜の短いオフのみで十分に体験を得られる設計とはなっておらず、むしろ何時間も時間を費やすことを要求している。

平均的なゲーマーは週に 7 時間ゲームをプレイし、1 回あたりのセッション時間は 1 時間 22 分だ。

ゲームプレイが長すぎることの弊害

なぜ人々は少ない余暇を追い立てられるようにゲームをプレイしているのだろうか。理由は人々がゲームプレイを通じてコミュニティの一部になりたいと感じているためだ。

ゲーマーのコミュニティは大きなリリースがあった後の数週間はホットな話題に関する議論が活発に行われているが、それらの話題はすぐに移ろいゆく。あなたが仲間たちと意見や考えをシェアすることに喜びを感じるタイプであれば、それらの話題に取り残されないように活動することはモチベーションになっているだろう。

順調にゲームを進めることができていたとしても、ある時点でゲームから離れなければならなくなることがある。仕事が忙しくなったり、子供の面倒を見なければならなくなるかもしれない。大人の生活ではいくらでもそういう事が起こりえる。

そうして事情を解決しようやくゲームに復帰したあなたを出迎えるのは、もはや直感的ではなくなったゲーム操作とうろ覚えとなったキャラクターとそれにまつわる物語だ。再び物語を辿り、操作感覚を取り戻すための道程にかつてと同じだけの熱量は得難い。

特に GaaS として知られるライブサービスのゲームは、プレイヤーを拘束する時間制約に関して鈍感にも思える。それぞれのゲームは自分こそがプレイヤーにとってプレイされる唯一のゲームでありたいと考えている。その地位を守るため、プレイヤーがコミュニティについていくために毎日/毎週提供される目標に曝され、達成し続ける必要がある。

What Remains of Edith Finch

コンパクトでリニアな作品の増加を望む

そのようなゲームが業界のトレンドとなっていく中で、ゲームに週に数十時間を費やすことのできない人々はますます端に追いやられていく。

現代のゲーマーにとって魅力的なのは、よりコンパクトでリニアな体験ではないだろうか。『Journey』や『What Remains of Edith Finch』といった作品はプレイを長引かせずに、最後までクリアされることで成功を収めた作品だ。

長大な叙事詩のような物語は確かに目を見張らせるものがあるが、現在の市場のそれは行き過ぎているように思える。平均的なゲーマーはもはやティーンエイジャーではないのだ。時間をもはやほとんど持たない大人であり、賢明に過ごせたと感じさせる体験を得られる作品がもっと必要なのではないだろうか。