スクウェア・エニックスはやっぱりスクウェア・エニックスだ

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目次

スクウェア・エニックスを好きになれない

スクウェア・エニックスという企業は今でもやはりスクウェア・エニックスのままで、私のようなPCゲーマーにとっては未だ好きになり切れない企業だと感じた。

パブリッシャーとしてのスクウェア・エニックスは、誰もが知っているとおり数多くの人気作を輩出している企業であり、日本企業だ。つい先日には世界が注目した作品『NieR:Automata』を家庭用ゲーム機向けに発売し、SteamにてPC向けの販売を日本を含む世界中で開始した。

これを見ればスクウェア・エニックスは立派な心意気を持ったパブリッシャーだと感じるだろうが、ここ最近のスクウェア・エニックスの対応を見て、根本的な性質は少しも変わっていないのではないかと感じたので少し理由を書いてみたい。

中指を突き立てるクロエ – Life Is Strange

スクエニはかつてPCゲーマーから嫌われていた

ご存知の方も多いだろうが、数年前までスクウェア・エニックスは日本のPCゲーマーを目の敵としているかのような行動を取り、少なくない日本のPCゲーマーから不満に思われている企業だった。

なぜそうまで嫌われていたのか、その当時の一例を紹介する。

Steam日本円対応時の大幅値上げ

例えば2014年8月にSteamが日本円決済に対応した時、それまで14.99ドルで販売されていた『Just Cause 2』は4,104円に値上げが行われた。Just Cause 2の例は特に価格差の大きかったものだが、それでも軒並み2,000円前後の値上げが行われた。

日本の家庭用機版の価格と統一を図るためという理由が説明できそうだが、Steam版で販売されていたJust Cause 2は当時日本語対応しておらず、とても日本向けとは言えない状態だったことを考えると無理筋である。

日本語DLC商法

『Tomb Raider』がSteamにて2013年4月に発売された当初は本編に日本語データが付属していたにもかかわらず、スクウェア・エニックスは日本語データをアップデートにより削除したうえで後から日本語データを復活させるためだけのDLCの販売を開始した。

Steamでのセール時に日本以外の海外ユーザーは本編を購入するだけで標準言語のまま遊べるのに対し、日本のユーザーは本編よりも高い日本語化DLCを購入しなければ日本語で遊ぶことが出来ない状況となっていた。

当時の日本人Steamユーザーの怒りにはすさまじいものがあり、ストアのレビューを見ると今でも当時の怒りの声を確認することが出来る。

Tomb Raider(2013)

おま値+日本語DLCのコンボ

Tomb Raiderの際の怒りの声が届くことはなく、2014年6月に販売が開始された『Thief』で行われたスクウェア・エニックスの販売手法も記憶に新しい。

発売されたThiefでは、Tomb Raiderと同じく日本語データは本編に付属しておらず、日本語化DLCが別途販売される手法がとられた。それだけであればまだユーザーからの怒りは少なかっただろうが、ここで海外ストアとの価格差が発見された。

海外向けに19.99ドルで販売されているものと全く同一の作品が、日本から購入するときには49.99ドルの価格に変化するよう設定されていたのだ。もちろん49.99ドルで購入しても日本語データは付属しなかった。

日本人がThiefを海外ユーザーと同じように自国の言語で遊ぶためには、追加で19.99ドルの日本語化DLCを購入し、海外比350%の料金を払わねばならなかったのだ。

チャリティー購入の日本人お断り

購入者が支払いたい金額で商品を購入することのできるPay what you wantを採用していたHumble Bundle。このストアは得られた収益をチャリティー団体に寄付することを大きな目標の一つに掲げたストアだ。

そのHumble Bundleにてスクウェア・エニックス作品が目玉として特集が行われた際、『Life is Strange』を含む豪華なラインナップが披露されたが、日本から購入することは出来なかった

日本から購入を行おうとするとこの地域は対象外だと通知が表示され、購入処理を進めることが出来ない状態であった。

営利目的を掲げる趣旨の特集ならまだしも、チャリティーとしての販売も掲げているストアにて利益獲得を優先するかのような行為は少なくない不満を集めていた。

特定地域のみ予約特典の対象外

『FINAL FANTASY TYPE-0 HD』が2015年7月にSteamにて予約販売が開始された際、Steam限定の予約特典アイテムが付属することが告知されていた。

特典としての出来が良かったため、多くのユーザーが特典欲しさにゲーム本編の購入を決意するほどだったが、日本を含む特定の地域からストアを閲覧すると特典に関する表記の一切が削除されていることが発覚した。

日本以外にも様々な国と地域がその対象外に含まれていたため、騒動は炎上し、スクウェア・エニックスは最終的に予約購入を行っていた全てのユーザーに予約特典を配布した上でゲーム本編を無償で配布する対応を決定することとなった。

ファイナルファンタジー零式HD

一時期はPCゲーマーに対する態度が軟化

2015年ごろまでスクウェア・エニックスは前述したように、PCゲーマーから歓迎されるとは言い難いゲームの販売方法を採用してきていた。

しかしある頃から急激にその姿勢が変わり、PCゲーマーに配慮したかのような販売方法へと切り替わり始めた。象徴的な出来事が2つある。

日本語標準対応

2016年1月に発売となった『Rise of the Tomb Raider』では、ゲーム本編に初めから日本語データが標準で搭載されることが発表された。

以前のように日本語化DLCを別途購入する必要もなく、初めから。

今でこそ日本向けに販売されるゲームに日本語データが搭載されているのは普通だと感じる人がいるかもしれないが、当時この決定は衝撃的であったのだ。

無料の日本語化DLCリリース

2016年3月にSteamにて日本で販売開始となった『Life Is Strange』向けに、スクウェア・エニックスは無償で日本語データを配布することを発表した。

日本語化DLCという形ではあったが、これまでに販売された日本語化DLCが時にはゲーム本編よりも高額であったことを踏まえると、驚きの良対応であったことは間違いない。

国内大手パブリッシャーの多くが未だに従来のような販売方法をとる中で、スクウェア・エニックスのこうした変化が大いに歓迎されていた。

またしても見せた誠意に欠ける対応

前述した変化だけであれば、スクウェア・エニックスは今も私にとってはPCゲーマーにも心ある対応を行う素晴らしいパブリッシャーとして記憶されていたに違いない。

しかし、そうはならなかった。それが2017年3月に発売される『NieR:Automata』にまつわるスクウェア・エニックスの対応だ。

Nier: Automata

NieR:Automataは日本語対応したが

2016年8月に本作がSteam向けにも発売されることが正式に決まった際、多くのゲーマーは純粋に喜んでいたし、私も間違いなくその一人だった。

NieR:AutomataがSteam版でも日本語を公式にサポートすることが判明した時には、確かに時代が変わったのだと感じてもいた。

しかし3月初頭にSteamでいよいよ予約販売が開始された時、雲行きは怪しくなる。予約が開始されたその日、日本を含むアジア地域の多くは予約販売の対象外であった。

誠意があるとは言い難い

豪華な予約特典が告知される中で、発売2週間前の段階で予約地域の対象外。Twitter公式アカウントは予約販売が日本で開始されない中、ただ「近日中にオープン」と伝えるのみであった。

結局、予約販売が日本でも開始されたのは発売日の4日前。訳もわからず予約の対象外とされた10日間、他に何らかのアナウンスがされることはなかった。

発売日の4日前まで、他国では大々的に予約販売が開始されているのを知りながら、何の事情説明も何もなくただ放置し続ける状態を誠意ある対応と呼ぶ文明は、恐らく存在しない。

当然のように存在する海外との価格差

国別の販売価格 – SteamDB

紆余曲折ありながらも販売が開始されたNieR:Automataだったが、Steamの日本向け販売ページを見るとそこには圧倒的な海外ストアとの価格差が存在した。

日本での販売価格は8,424円。この価格は日本版が現時点でどの国よりも高い価格で販売されていることを意味している。

もちろん日本版だけ内容が豪華だとか言ったことは一切ない。公式アナウンスがあった通り「ゲームや特典の仕様は海外と共通」だ。

Steamの根拠地であるアメリカと比べると約23%高く、イギリスと比べると約50%も高い価格設定が行われていることが分かる。

これは呪いか。それとも罰か。

他ストアでも大きな価格差が存在

NieR:Automataのプロデューサーを務める齊藤陽介氏は自身のTwitterアカウントにてSteam上での価格設定について「価格はPS4DL版と同じです」と言及している。

しかし私が思うに、問題の本質がそこにあるとは思わない。

確かに齊藤氏が主張するようにPlayStation Storeで販売されているPlayStation 4版とSteam版の価格は同一だが、そもそものPlayStation Storeでも同じく価格差が存在している。

PlayStation Store – Nier: Automata

齊藤氏の説明で納得し腹の虫を収められるのは、海外Steamストアのみが他に比べて安価であった場合だけであり、今回はその例に当てはまらない。

私は「価格はPS4DL版と同じ」という言い分は「日本向けはどこでも割高だから我慢してほしい」と言われているように感じてしまう。

スクウェア・エニックスにとって日本のゲーマーは何か

そして冒頭に戻るが今回の件で私が感じたことは、スクウェア・エニックスにとってPCゲーマーひいては日本のゲーマーという存在への扱いは変わっていないのではないかということだ。

ここ最近では日本向けにSteamでも日本語データを付属させるようになり、日本のPCゲーマーへの待遇は改善されたように思える。

しかしNieR:Automataで見せた対応などから、スクウェア・エニックスがPCゲーマーを大事に考えているのだとは今の私には信じにくい。

かつて俗に言うおま国やおま値を行っていた際の扱いと現在の扱いの間にある、スクウェア・エニックスの本質的な部分は何ら変わっていないのではないだろうか。

そう感じてしまう間、私にとってのスクウェア・エニックスは今もスクウェア・エニックスのままだ。