女性権利を取り巻くイデオロギー戦争

セクシーなシリーズ最新作『Dead or Alive Xtreme 3』が日本以外に発売されることが難しそうであることが、パブリッシャーであるコーエーテクモのFacebookページにて明らかになった際、インターネット上では検閲に関する激しい議論が巻き起こった。

Dead or Alive Xtremeシリーズは、テクモがコーエーと合併する以前に発売していた対戦格闘ゲームDead or Aliveシリーズのスピンオフ作品。本編シリーズに登場するヒロインたちが露出の激しい水着などでバカンスを楽しむ様子を描いた作品で、アメリカ及びカナダで活動するレーティング機関ESRBからはシリーズ関連作品で初となる「強い暴力表現や非直接的な性的表現」を意味するM指定を受けていた。

作り込まれたビーチバレーボールのパート以外にも、美しいヒロインたちの姿にフォーカスされた内容のためだ。

スピンオフシリーズ第1作目は2003年にXboxで発売され、2006年には続編がXbox 360で発売。ミニゲーム数やゲームオプションを豪華にしつつ、主におっぱいなどの肉感的な物理演算技術を発展させてきた。それ以降長らく音沙汰のなかったXtreme 3はようやくPlayStation 4及びVita向けの開発が決定したものの、日本以外の国へ向けてのリリース計画が存在するかについては明確なコメントがされてこなかった。

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女性問題を懸念して海外での発売は無しに

Dead or Alive Xtreme 3の海外リリースについて明確な答えが得られなかった海外のファンたちは、欧米諸国での販売を求めて請願活動を行った他、Dead or Aliveの公式Facebookページへとたどり着き、そこでリリース計画は決まったのか訪ねた際にコーエーテクモからは否定の答えが返ってきた。

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「我々にDOAX3を西側に発売する計画はありません」

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ユーザーはその答えに至った理由を尋ねたところ、Dead or Alive公式アカウントからは「ゲーム産業で女性の扱い方を巡る多くの問題が存在するため」と説明をおこなった。

背景には欧米で加熱するゲームでの女性差別議論

コーエーテクモがこのように態度を変えた背景には、Dead or Alive Xtreme 2の発売以降で欧米におけるメディアに対する女性の扱い方への価値観が大きく変化した事が影響している。

この変化に伴いメディアが女性を扱う場合は性的な差別を行ってはいけないという本来正しい意見だが、それを理由に過剰な攻撃を行う「正義のミカタちゃん(Social Justice Warrior)」の出現がたびたび問題となっている。

コーエーテクモが一体どのような理由で国外への発売を計画していないのか、その理由が”正義のミカタちゃん”の存在にあるのかは定かではないものの、ゲームのリリースに対するなんらかの組織的な抗議の可能性に萎縮して海外での発売を避けたことは想像に難くない。

今回の一件は北米で社会問題にまで発展したゲームでの女性軽視議論「GamerGate」問題にまつわる、検閲の一例として語られていくことになるだろう。

既にさまざまな立場の団体が今回の騒動を受けて行動を開始しており、エロティックなパズルゲーム『HuniePop』で知られるデベロッパーのHuniePotは『Dead or Alive Xtreme 3』を販売する権利のために100万ドルまで出資することを表明している。コーエーテクモUSは一連の騒動について口を固く閉ざしている。

こうして『Dead or Alive Xtreme 3』は女性権利を取り巻くイデオロギー戦争の新たな火種となった。

via: Kotaku