賞が果たすべき意義とは何か

任天堂を退社し現在はエンタースフィアの取締役社長を務める岡本基氏が、様々な業界で授与されている「賞の意義」について語っている。果たしてゲーム業界において賞の意義は果たされているのだろうか

芥川賞を受賞した又吉直樹氏の小説『火花』が発行部数 144 万部を記録し、受賞単行本で最大部数となったニュースを受けて、岡本氏は「すばらしい。賞の意義が果たされた」とコメントしている。

賞の意義とは何か、岡本氏は「賞で大切なのは作品の優劣を論じて決定する機能じゃない」と伝えている。

賞で大切なのは、これから活躍してほしい作家に期待感と激励をおこない、読者や市場に対してわかりやすい権威を付与することです。作家や市場を活性化できないなら、何の意味も無い

岡本氏は販売を促進させ大ヒットに導いた『火花』の受賞は良い判断だと改めて明言した。

「すばらしい本を書いてくれたあなたに、もっと本を書いて欲しい、一緒に盛り上げていきましょう、というメッセージなのですよ。受賞されて注目が高まらないとか、話題にもならないのが一番困る」

文芸界での「賞」のあり方について触れた後で、岡本氏は対比してゲーム業界の賞について未だ改善の余地がまだまだあるとした。

賞として機能していないゲーム業界の賞

「受賞したから『おっ、やってみよう』というユーザーがどれだけ増えるのか、疑問」と岡本氏。

確かに昨年の Game Awards 2014 といったゲーム業界を代表する賞を受賞した作品を見ても、既に多くの知名度と売り上げを誇る有名作ばかりが名を連ね、岡本氏が述べたような「おっ、やってみよう」といった新規性を見いだす側面はあまり見いだせない。

「賞が賞として、うまく機能しているのは映画と小説ぐらいです。賞が機能してるかどうかは、要は話題や注目を集められるかどうかです。それができないなら、小学生に校長先生が賞状を渡してるのと変わらない」

岡本氏は賞を賞として機能させるには、はじめは名声のある作品や人に対して授与し、相手ではなく賞に対して逆に権威をもらい、賞が権威を持ち始めたら次は逆に還元していくことが大事だとのこと。

「だから『火花』の件にしても、毎回ああいう事はやらないし、やれないわけでしょ。専業小説家の人にだって、賞をあげなきゃいけないわけだし。ただ、そこにずっと閉じちゃうと、内輪受けになっちゃう」

高めた権威を維持することと、高めた権威を業界に還元するバランス感覚のある運用をゲーム業界も行うべきであり、小説の賞と映画の賞を見習うべき点は多くあると語る岡本氏。賞としての意義が果たされていないというゲーム業界における賞は、果たして岡本氏が語るような業界に還元できるような賞へと変わっていくことが出来るだろうか。

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