19 歳が設立した世界を創る会社

『Minecraft』にはプロのビルダーが存在する。

職業としてデジタルブロックを組み合わせて世界を作り上げるデザイナーや建築家の集団だ。PC Gamer が紹介するのはVerunaというプロ集団の 1 つで、34 人が在籍してクライアントのために世界を創造している。クライアントから依頼されるのは、水中王国などファンタジーなものから未来的な街並みまで様々だ。

Veruna は 19 歳の創設者 Thomas Sulikowski が CEO を務めている。

Sulikowski は高校生時代に Minecraft で建築というものに出会った。他の多くの青年と同じく、友達に誘われたゲームを始めたのが始まりだった。「毎日授業の後、数時間遊んでいた。高校 2 年生のころに通常のサバイバルゲームから離れ、Minecraft のクリエイティブな面に深くのめり込み始めたように思う」

Minecraft のコミュニティ上で自身のビルドを投稿し、彼は次第に注目を集めるようになっていった。この頃 Sulikowski はいくつかの調査を行い、Minecraft を通してビルドがビジネスとして成立することに気が付いたという。

そうして小規模なキャビンから、エンパイアステートビルの完全再現といった大掛かりなビルドを手掛けるようになった Sulikowski だが、すぐに学業と Minecraft でのビジネスを両立させることが難しいことが分かり、事業規模を拡大して対応することを決意した。

クライアントは大きく 3 つに分類できる

Minecraft のビルドをビジネスとする稀な企業は、クライアントがはじめ何を求めているのか分からないところから始まるという。ただ大胆で魅力的なものを求めているという点から、どのようなサイズ感であればそれを達成できるかを見極めていくことが最も難しいと Sulikowski は伝えている。

Veruna では通常 2 人から 8 人のメンバーが参加し、クライアントと全行程でコミュニケーションを取りながら作業を進めていく。どのようなクライアントが存在するのか、大きくは 3 つのタイプに分類できるという。

1 つ目は Minecraft を注目を集めるためのマーケティングツールとして考える企業で、企業のプロジェクトに関連した地域や建物の再現を求められるタイプ。

2 つ目は慈善団体 Block by Block のような、何らかの代替として Minecraft を用いる組織の活動の一端。Block by Block は、ハイエンドの 3D デザイン建築ソフトウェアを利用できない組織が代替として Minecraft を利用することを支援する団体だ。

そして最後が個人の顧客で、個人的に使用するためのビルドだったり運営しているサーバーのためのビルドのオーダーに応えるタイプとなる。Minecraft はサーバー運営自体がビジネスともなるため、人々を引き付けるためのコンテンツとして需要があるのだという。

例えば Sulikowski が例として挙げた個人顧客からの依頼では、アニメに登場するような街をまるまる再現するビルドのCity of Orarioだ。Minecraft アニメを撮影するためのサーバー向けに依頼されたようだ。

Veruna の制作料金は 999 ドルから開始となる。高額なものでは 1 万ドルを超えたこともあるという。City of Orario での建築物であれば 4,000-5,000 ドルの価格帯とのこと。制作を行うビルダーは時給制で、料金はビルドにかかる推定時間から算出されるという。

Sulikowski の次の目標は Minecraft の権利元である Microsoft とのパートナーシップ締結だ。マーケットプレイスで直接制作したマップを販売できるようになることを考えているという。