戦時国際法違反を通告されたインディーズゲーム

ただのゲーム開発者であっても、戦時国際法違反に問われる可能性はある。

『Prison Architect』で知られる Introversion Software は、Prison Architect が扱っている内容が物議を醸す可能性があるとは考えていたが、戦時国際法違反を問われるとはみじんも考えていなかったという。

代表の Mark Morris と Chris Delay は、ジュネーブ条約の違反によって戦時国際法抵触していると通告があったと報告している。

PCGamerによればクリスマスの数日前、英国赤十字社より国際法違反の通告が行われたという。

「通告の理由は『Prison Architect』に登場する車両に赤い十字マークが表示されていることでした。1949年8月12日に戦争被害者保護のため、ジュネーブ条約では赤十字の使用を制限しており、イギリスではこの条約を1957年から批准していました」

Delay と Morris はこの条約について知らなかったと語ったが、結果として彼らは数年間にわたり国際法に違反していたことになる。「私たちは最初誰かに茶化されているのだと思っていました」

赤十字マークの不正利用は懲役刑の可能性

事実として、病院など医療をモチーフとしたデザインを行う際に利用してしまいがちな赤い十字マークだが、ジュネーブ条約を批准する多くの国で使用が禁止されている。

日本でもジュネーブ条約及び 赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律 にて明確に正当な理由なく使用することが禁止されており、違反した場合には懲役刑または罰金が科せられる行為となっている。

イギリスでも同様に国内法で違法行為とされているようだ。

本当に正しい規制なのか疑問視も

Prison Architect 以外にも、ゲームだけでも誤ってヘルスパックに赤い十字マークを利用してしまっている事例は枚挙に欠かさない。Halo:Combat Evolved や旧版 Doom などがその代表例だ。

Delay と Morris は通告を受けて迅速に修正対応を行った。現在 Prison Architect では赤十字の代わりに緑の十字が表示されるようになっている。

開発者らは赤十字というシンボルが正しく運用されることの意義についてよく理解しているが、それでもこの通告に対しては疑問視する余地が上がっていることも事実だ。

Morris は「多くの人が救われると期待して寄付されて集まった資金が、ゲーム会社に対してシンボルの利用を差し止める為に弁護士を通じて通告することに使われている」と話し、その使用方法について疑問を表明している。

「星の数ほどもあるゲームの中で多くのゲームは赤十字を健康を示すためのマークとして使用していると話し、その使い方が赤十字の意味を損ねるような使い方だろうか」

多くの人々が誤ってしまう可能性があるだけに、今後も継続的に赤十字マークの使用が処罰される線引きは議論されていくだろうし、されていくべきだという事例に Prison Architect はなった。