Battlefield 1 が歴史の認識を変える
第一次世界大戦を描く Battlefield 1 は、人々の戦争という歴史への認識を捻じ曲げてしまう可能性がある。大作ゲームが社会に及ぼす影響と企業の責任についてPascal Lubanが論じている。
Luban は Activision や SCEE や Ubisoft や DICE など、世界的ゲームスタジオを渡り歩きゲームデザインなどを手掛けた人物。
Electronic Arts は『Battlefield 1』について、フランス軍およびロシア軍はゲーム発売時点において対応しないと発表している。両軍は第一次世界大戦において最も大きな影響を及ぼした軍隊だが、人々は両軍をプレイするためには拡張パックを購入する必要がある。
イギリス、オーストラリア、アメリカの軍隊はそれぞれ勇敢に敵と戦ったが、歴史上でフランス軍が西部戦線において果たした役割は特に大きい。ロシア軍も同様だ。
Luban は、ゲーム初期から登場する軍隊が英語圏の国のものに偏っているこの状況が、第一次世界大戦に対する若い人々の認識をアメリカとイギリスが最前線に立っていた戦争だと思わせてしまうと警鐘を鳴らしている。
「ゲームが我々の社会に与える影響を考える必要がある」
ゲームは人々を簡単に影響できてしまう
ゲームは数十億人に影響を及ぼす主要メディアの一つだと Luban は語る。
ゲームはプレイヤーに事実や感情、意見を伝えることができる。これは言い換えると現実の人々の認識を変えることができるということだ。彼らに変化を促し、強い感情を呼び起こすことができてしまう。
ゲームが単に事実を人々に伝えるための手段となっているとき、この影響力について特段触れる意味はない。しかし今回の Battlefield 1 のようなケースはどうだろうか。Luban は確信が持てないという。
ゲームの間接的な影響力を忘れてはならない
ゲームが持つ影響力が仮に不適当に使われたとすれば、それは世界にとって悪影響を及ぼす。例えば「敵を拷問しても良い」といった 間違った メッセージを簡単に届けてしまうことができる。
ゲーム業界人は誰もがビジネスの輪に組み込まれており、株主に対して説明責任があり収益を生み出す必要がある。しかしそれと同時に我々はこの世界の市民でもある。他のビジネスであっても同様だ。
Luban はゲームのデザインを選択しプロモーションを行う我々は、社会に間接的に影響を及ぼしていることを常に覚えていなければならないと主張する。「不適当な選択は、人々が誤った方向に進んでしまうきっかけになりかねない」