筆者: CURRY_DAYS Steam 上でゲームの日本語化情報を集めるグループ 日本語化情報“の管理者。
ダンジョンキーパーの後継作ともいえる作品 War for the Overworld“が Subterranean Games からリリースされた。今回、約 20 年ぶりに発売された、このダンジョンキーパーの後継作について紹介する。
ダンジョンキーパーとは
ポピュラスやテーマパークシリーズで有名なイギリスのゲーム開発会社であるブルフロッグのピーター・モリニューが、1997 年に立ち上げたダンジョン経営リアルタイムシミュレーション(RTS)のゲームシリーズです。
タワーディフェンスの先駆けとなったともいえるゲームで後の多くのゲームに影響を与えた RTS の金字塔といえます。
ゲーム画面は見下ろし視点で、悪のゲートキーパー(肉体を持たない魔王の様な存在)となったプレイヤーがモンスターを使ってダンジョンを要塞化して敵(勇者や他のダンジョンキーパー)を殲滅すのが目的です。
ただし、このゲームのモンスターはプレイヤーの言うことを素直に聞いてくれるような奴らではありません。
ミニオン(部下)に指示して、ダンジョンに多様な設備(寝床や食料生産施設など)を設置することで住み心地良くしないと異世界から移住してきませんし、娯楽施設を用意してご機嫌を取らないと不機嫌になったりするなど、経営要素もあり、プレイヤーを楽しませてくれます。
最近のゲームで例えるなら「シムシティ」と「勇者のくせになまいきだ」を足してダークファンタジーで味付けしたようなゲームといえばよいでしょうか?
多彩なキャラクターや施設、遊び心あふれるモンスターの挙動など、プレイヤーを飽きさせない作りこみで、多くのゲーマーの心をつかみ今でも根強いファンがいる作品です。現在でも販売しているGOGでは星 5 のレビューが並んでいます。
ブルフロッグの解散
多くのゲーマーに愛されたダンジョンキーパーですが、1995 年にブルフロッグがエレクロニック・アーツに買収された後、1997 年にピーター・モリニューがライオンヘッド・スタジオ(代表作は Fable)を設立したことに伴い解散してしまいました。
※ライオンヘッド・スタジオはその後、2006 年にマイクロソフトゲームスタジオに買収され、ピーター・モリニューはマイクロソフトを経て 2012 年に 22Cans に移籍している。
その為、当時開発中だったダンジョンキーパー 3(War for the Overworld)の開発は中止され、オリジナルメンバーによるシリーズの続編が望めなくなったファンたちを大いに落胆させました。(2014 年に iOS/Android 版が発売されているもののアイテム課金制になっているなどの改変があります。)
ファンの熱い思いと復活
ブルフロッグ解散後 20 年の時が過ぎ、普通のゲームなら風化してしまう処でしたが、ファンたちは KEEPERS KLAN などのファンサイトでマップや MOD を作って根強くゲームを楽しんでいました。
そのような活動の中から、ダンジョンキーパーをリメイクしようとする動きが起き、2012 年に約 15 人のメンバーによって、ゲーム会社Subterranean Gamesが立ち上げられました。
その後は、まさに長年待ち続けてきたファンたちの想いが爆発したかのような現象が起きます。
2012 年 10 月 30 日にキックスターターで£ 15,000(約 2,000 万円)を目標に資金の募集を開始したところ、開始 30 時間で 14%に当たる£ 21,000 の資金を集め、2012 年 12 月 23 日には原作者であるピーター・モリニューからビデオレターが届くに至ります。
そして、2013 年 1 月 4 日には£ 211,372 の調達に成功、余剰資金で原作の声優 Richard Ridings をアンロック、シナリオ追加など破竹の勢いを見せています。
“War for the Overworld は本当にダンジョンキーパーなのか?
いままでにも、 Dungeons 2″などダンジョンキーパーに似て非なるゲームがあったので、どうしても気になるのは本当にダンジョンキーパーなのかという点と、ダンジョンキーパー 1 か 2 のどちらに準拠しているかという点になります。
“War for the Overworld は幻と消えたダンジョンキーパー 3 のサブタイトルを頂くだけあって、ダンジョンキーパー 2 のシステムを踏襲することに注力しています。
その為、各マップの目的がはっきりしており、新しくこのゲームに興味を持たれた方でも取っつきやすくなっています。
今なお色あせない名作を堪能してみてはいかがでしょうか?
War for the Overworld のオススメするポイント
- 純粋にゲームとして面白い。
- Windows だけではなく、Mac 版や Linux 版もある。
- ユーザの要望を聞きながらのバージョンアップが続いている!
- 一人でじっくりプレイしたい人はキャンペーンマップだけでなく、他のユーザが作ったマップをワークショップからダウンロードして楽しめる!
- 腕に覚えのある人は、ネット対戦もできる!
- 日本語がないと嫌な人は、有志の日本語化ファイル(翻訳作業中)がある!
本記事の執筆に当たり、筆者が作成した War for the Overworld の機械翻訳を元にして翻訳作業を行ってくださっているグループがあります。翻訳作業への参加者を募集しておりますので興味のある方は以下のガイドページにお越しください。