成長する早期アクセス市場と完成しないゲーム達

ゲーム業界を専門に扱う調査会社・EEDARの顧問を務めるPatrick Walker氏が、Steam早期アクセスの利点とリスクについて語った。これまでにも早期アクセスはたびたび問題視されたが、一体どのようなことになっているのだろうか。

成功した早期アクセスタイトルには『Day Z』『Prison Architect』『Kerbal Space Program』などのタイトルがある。これらは個々の小規模な開発者達が自力で到達できる以上のパフォーマンスを、早期アクセスとして提供することで資金を集め達成することが出来た。

今ではUbisoftやSOE、Square Enixといった巨大なパブリッシャたちも早期アクセスのように、完成前にお披露目をしていくことが、彼らのビジネス戦略的に有効かどうかの検討し始めている状態だ。早期アクセスとなっている85%が新規タイトルであることから分かるように、知名度のない新規タイトルや、ニッチなジャンルを多く扱う1C CompanyやParadoxのようなパブリッシャも早期アクセスという手法を採り始めている。

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ゲーム開発中にも資金が供給され、熱心な関心を持つ消費者からのフィードバックを得ることが出来る早期アクセスはデベロッパーにとって”win-win”なシステムだという。その結果2013年3月の正式実装後、Steam早期アクセスは劇的な成長を遂げた。

しかし、早期アクセスについて明らかにしておかなければならない点に、「開発が完了し正式リリースされたタイトルが少ない」という問題点がある。事実、早期アクセスのサービスが開始されて以降、正式リリースとなった作品は全体のわずか25%しか存在しない。

最近に早期アクセスが開始されたタイトルが全体のパーセントを下げてしまうことを考慮したとしても、18ヶ月以上も前の2013年3月に早期アクセスが開始された9つの作品のうち、正式リリースされたのはわずか3本、18ヶ月経過した今でも33%にしか過ぎないのだ。

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このことから早期アクセスに潜む明白な問題点が見えてくる。多くの利益が早期アクセスによってもたらされていながら、消費者とデベロッパーの間で結ばれた約束が反故にされているということだ。

この問題は早期アクセスだけでなく、ゲーム業界全体のクラウドファウンディングやシーズンパスにも共通した問題だ。消費者は見せかけだけの約束に多大な料金を支払っていることになる。

さらに早期アクセスが悪質となり得る問題点として、早期アクセスは理論上、いつまでも無期限に開発中という立場をとれることだ。シーズンパスは特定の期間内にリリースを要求されるし、Kickstarterでは大まかなリリース予定日が明示されている。

これまで早期アクセスはそこまで否定的な批判に曝されることは無かった。しかし、このような傾向が今後も続いていくならば、早期アクセスが大きな問題へと発展していく可能性が存在する。

すべてのパブリッシャーとデベロッパーは、早期アクセスモデルが持つ利点と危険性を理解する必要がある。早期アクセスというモデルの可能性を潰してしまわないためにも、開発者はよりスケジュールと価格を慎重に決定する必要があるだろう。

ソース:gamesindustry.biz