ゲーム内課金の皮肉

皮肉なことにゲーム内課金の存在がゲーマーを支えている。

株主が歓迎するゲーム内課金

ゲームファンからは批判の的として注目を集めることの多いゲーム内課金。ゲーマーらの主張とは対照的に、株主らは賛同の声をあげている。

近年、ゲーム内課金(マイクロトランザクション要素)と呼ばれる継続的な収入源を確保していないゲームが大きな成功を収めることは、ゲーム企業にとっては半ば博打のようなものとなりつつある。

とりわけ、ストーリーを重視したシングルプレイ用ゲームでは継続的かつ莫大な収益を挙げる方法が確立されておらず、そのジャンルを見放す動きも大手の間では表れつつある。

For Honorは課金要素が特に批判された例の一つ

企業にとって救いとなる収益の柱化

多大なる開発コストをかけた主力ゲームがコケることは、ゲーム企業にとって悪夢そのものだ。Activision Blizzardが昨年に発売した『Call of Duty: Infinite Warfare』はまさに悪夢を具現化する存在の一つとなるはずだった。

しかし、そうはならなかった。Infinite Warfareは前作Black Ops 3の約半分ほどしか売れない程の失敗であったが、同作が実装していたゲーム内課金が救いの手を差し伸べたのだ。

金融専門誌バロンズによれば、Activision Blizzardはゲーム内で利用できる新しい武器やミッション、スキンなどへの課金促進を行いこの失敗を取り戻したと伝えている。ゲームの発売直後、株価は低迷していたものの現在は年初来75%の上昇を達成している。

その規模はさらに拡大とアナリスト予測

その他のパブリッシャーもゲーム内課金の導入によって成功を収めている。Electronic Artsは53%、Take-Two Interactiveは118%の株価上昇となっている。

ゲーム内課金について、Jefferies GroupのアナリストであるTimothy O’Sheaは利益率の高さを指摘し「驚異的なビジネス」と語り、ゴールドマン・サックスのアナリストであるChristopher Merwinはゲーム内課金による売上比率が、昨年の35%から2019年には50%にも届くとの見込みを伝えている。

2017年11月に発売の『Call of Duty: WWII』

新作を発売せずとも黒字化した企業も

Take-Two Interactiveはこれまで、主力である”Grand Theft Auto”シリーズに売り上げの大部分を依存していた。Grand Theft Auto新作が発売された年に大きく黒字となり、次の発売まで赤字を耐えるというのが同社のこれまでであった。

しかし現在は違う。ゲーム内課金を取り入れることで、新作が発売されない年度であっても同社は安定した売り上げを計上しており、2017年3月期には遂に黒字を達成した。現時点でのシリーズ最新作『Grand Theft Auto V』が2013年発売であることを考えれば、ゲーム内課金が驚異的なパフォーマンスを挙げていることが分かるだろう。

皮肉と事実、未来

もはや高騰する開発費に苦しむゲーム企業にとって、ゲーム内課金は手放すことのできない存在だ。

多くのゲーマー達がその存在を否定し反対していても、皮肉なことに、ゲーム内課金がゲームを供給する企業を助けている事実から目をそらすことは出来ない。

この現状に至ってゲーマー達が為すべき建設的な活動は、来るべきゲーム内課金の時代に向けてどのようなゲーム内課金ならばオーケーと言えるのかをはっきりと示していくことだろう。