過剰なプロモーション活動はリスクとなる

そろそろゲーム業界はマーケティング手法を変えていく必要がある。

多くのプレイヤーが期待を裏切られたとして返金騒動に発展したNo Man’s Sky、高すぎる難易度から挫折者が続発し論争に発展したBloodborne。これらの騒動に共通して言えることは、どれも過剰に消費者の期待を煽りすぎていることだ。

つまり、本来購入すべきではない人にまで購入を勧めるような広告活動を行ってしまっているということだ。

ターゲット層以外へのリーチが問題の原因

No Man's Sky

No Man’s Sky

現代のインターネット上には、TwitterやFacebookといったソーシャルネットワークのほかにも、キュレーションメディアやまとめブログといった情報発信力に優れたメディア媒体が数多く出現し、これまでに無いほどの情報伝搬力を個々のメディアが有するようになってきている。

そんな状況の変化にもかかわらず、いつまでも旧態依然とした情報伝搬に苦労した時代のマーケティングを行っていては、デベロッパやパブリッシャは余計なリスクを背負うことになる。

No Man’s Skyの騒動で言えば、開発元のHello Gamesが「決して万人受けするゲームではない」と過熱する消費者の期待を抑えるようなコメントを行ったにもかかわらず、ゲーム業界を取り巻くメディア各紙はまるで今世紀最高の全てのゲーマーがプレイすべきゲームであるかのような報道をやめることはなかった。

そして結果として宣言通りに万人受けすることのなかったNo Man’s Skyでは、返金騒動によって多額の払い戻し手数料やブランドへの傷がつく結果となってしまっている。

企業は買わせない努力も必要

Twitterユーザーの@younasiは「情報が広まりやすい時代だからこそ、プロモーションを打つなら興味ないやつに買わせない努力も必要」と主張している。

younasiはSteamストアで販売されて美少女ゲームシリーズ”Sakura“を例に挙げて、ゲームを購入したとしても趣向が合わないユーザーを無理にターゲットとせず不要なリスクを抱え込まない広告活動へシフトしていくべきとの意見を述べた。

適切なターゲットにのみ売り込んだSakuraは安定した高評価

Sakuraシリーズ

Sakuraシリーズ

SakuraシリーズはSteamを中心に発売されている美少女ゲームシリーズであり、一般的にゲームという単語で想像されるようなゲーム性といった要素よりも、とにかく登場キャラクターの可愛さを押し出すことに注力した、いわばオタク向けのシリーズだ。

シリーズ作品はどれもSteamレビューにおいて「非常に好評」と圧倒的な支持を見せているが、仮に全てのゲーマーに購入するようプロモーションが行われていれば圧倒的な不評の嵐に包まれていたことが想像できる。

ゲームメディアの”貴族の務め”

どの業界にも同じことがいえるが、全ての業界は新規参入者が定着することで生態系を維持している。「知っている」人々のみに注目していては人口の減少によって、やがては業界が消滅してしまうからだ。

ゲーム業界で言えば、その作品をちゃんと知ったうえで欲しいと思う人々にのみ作品は提供されるべきで、本来必要としていなかった人々を錯覚させて購入を促すような真似は、極短期的には利益が上昇するかもしれないが長期的に見ればゲーム業界全体に対する不信感を育てる結果につながりかねない。

今回ゲームメディアの一部には、No Man’s Skyの期待を煽る報道を繰り返した挙句に、人々が思っていたほどのゲームではなかったことが知られると同時に、手のひらを返したようにプレイヤー数の急減を取り上げ始める姿が見られたが、特に影響力の高いメディアであればなおさらそのような態度は慎むべきだ。

誰が購入するはずではなかった人々までもを誘惑していたのかを忘れているように思える。

情報を発信して大なり小なりの影響力を行使する以上、パブリッシャもデベロッパもメディアも一丸となってゲーム業界の生態系が今後も持続できるよう各自の行動を振り返る必要がある。

難しいだろうが、情報伝搬力がかつてない威力を発揮するようになった現代でこの取り組みは必須だ。