ARの対象とならない権利

7月22日から日本でも配信が開始された『Pokémon GO』。7月7日から先行配信されていた海外と同じく、日本でも瞬く間に社会現象となり、街を歩けばいたるところでゲームをプレイしている人々を目にすることができる。

本作は「ARの対象とならない権利」という新しい概念に直面している。

Pokémon GOは位置情報を利用したAR技術(拡張現実)を基にしてNianticが開発したARゲームであり、同社の代表作でもある『Ingress』と同じく、現実でのプレイヤーの位置情報がゲームと密接に結びついていることが特徴の一つとなっている。

このことは人々に現実世界での運動を促すなどメリットをもたらすと同時に、世界中で社会現象となったがために多くの未知の問題とも遭遇を果たしている。ARゲームの先駆けとしてPokémon GOに課せられる社会的責任について、芝浦工業大学で教授を務める小山友介氏が語っている。

ARゲームの先駆けが出会う問題

日本では原爆死没者を慰霊する平和記念公園などもゲームの対象エリアとなっていることから、本来の施設の目的に配慮してゲームからの削除要請が行われるなどのトラブルが数多く発生し始めている。これは先行配信が行われていた海外でも同様だ。

Pokémon GOは多くの人にとって事実上「初めて触れたARゲーム」だろう。そのため、まだまだ未解決な問題は多い。規制すればいいという意見もあると思うが、世界中でこれほど多くの人が楽しんでいるゲームを一概にダメなものはダメ、と言ってしまうのはもったいない。

Pokémon GOを契機として、「ARの対象にならない権利」という、今まで存在しなかった権利の確立を含めて、さまざまな社会的な調整を行っていく必要がある。任天堂もナイアンテック社も、そういった調整を根気強く行う必要があるだろう。

社会に対して影響を与える作品を扱うのなら、それに伴う社会的責任を果たす義務がある。

小山氏は国民的人気ゲーム『ドラゴンクエストIII』が平日に発売された際に、学校を休んでまで購入に駆け付けた小中学生が補導され社会問題となったことを例に、企業が果たすべき責任を問いかけている。