世界中の諜報機関はゲーム上の通信を監視している

先日のフランス・パリを中心に銃撃戦と爆発を伴い少なくとも120名以上が死亡したパリ同時多発テロ事件について、テロ攻撃を実行したIslamic Stateは「PlayStation 4」によってテロ攻撃を計画したとの報道がForbes誌によって行われた。

結果としてこの報道は誤報であり、PlayStation 4が今回のテロ攻撃に関与した事実は見つからなかった。

しかし現実にテロリストがゲーム機に関与することは事実で、今年5月にはIslamic Stateと関係を持つオーストリア在住の青年がPlayStationを用いて爆破計画を行っていた疑いで逮捕されている。

実際、2013年に元NSA職員であったEdward Snowdenが明らかにしたように、各国諜報機関はオンラインゲーム・サービス上で行われる通信の監視を行っており、過去には「Second Life」や「World of Warcraft」といった著名な作品上で行われるゲームチャットを監視していたことが判明している。

Sonyはこういった事例に際してのインタビューについて「疑わしい場合があるか違法である活動を察知した場合に通報し、適切な当局とともに適切な措置をとることを約束する」と語っているが、今後もゲームが非合法な計画に用いられる可能性は常に存在し続けるだろう。

ベルギーのJan Jambon内務大臣は「PlayStation 4はWhatsApp(世界最大のメッセンジャーアプリ)よりも通信を追跡することが難しい」と語り、ゲーム上で行われる通信は、監視機関による解読が最も難しい通信手段としている。

ゲーム上で行われるチャット通信がテロリストにとって有用であることには理由がある。

ゲーム上での会話がテロリストにとって有用である理由

ひとくちにゲーム上で行われる通信と言っても、会話の経路はゲームの数だけ、星の数ほど存在する。そこで用いられている通信プロトコルや暗号化手法はゲーム毎に異なっており、それらを通じて行われる通信を解析しようと思えば、それぞれ個別に解析手法を確立しなければならない。P2P通信などを用いるゲームでは、運営者側で会話ログを一切保持していないケースも多い。

そしてゲームはテロリストとは全く無関係に、チーターとの戦いを経てゲーム上で行われる通信の暗号化を進化させてきた歴史がある。当然のように暗号化されたゲーム通信は電子メールとは根本的に設計や運用レベルが異なっている。

そしてゲーム内では文字に頼らずともコミュニケーションを取ることが可能なことも、監視を難しくさせる要因だろう。利用者間で特定の符号さえあれば、ゲーム内キャラクターの身振りやアイテムの配置などでも意思の疎通は可能だ。理論上無限に考えられる組み合わせを全て関知することは不可能だ。

仮に通信を解読しゲーマーたちの通信にたどり着けたとしても、待っているのは通常の人々が行う会話内容とは大きく異なる会話が諜報機関を待ち受けているだろう。「どこで何を殺す」だとか「爆弾を設置」だとか、物騒な内容が多く行われている通信の中から善良な人々による発言とテロリストによる発言を見極めることは難しい。

ゲーム機がテロ攻撃に用いられる可能性は常に存在し、またそれを察知するために出来ることはあまりに少なく、そのリソースは足りていない。これは恐ろしい事実だ。

via: Kotaku, Hatena, Wired

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