誤解に基づく事実の錯誤を警告

「子どもがゲームに夢中になっているんだけど、ゲームは子どもに悪影響なの?」

教育経済学の専門家として知られる慶應義塾大学准教授の中室牧子氏は、ゲームが子どもにもたらす悪影響を心配する声に対して、「『ゲームは子どもに悪影響を与える』という説は必ずしも正しいとはいえない」と1つの答えを掲示している。

「因果」と「相関」の決定的違い

慶應義塾大学 - 中室牧子准教授

慶應義塾大学 – 中室牧子准教授

中室氏は米メディアのCNNが紹介した「ゲームの使用時間と問題行動の間には強い相関関係が見られる」という研究に対して、この研究結果をもってゲームが子供に悪影響を与えると判断してはいけないと警鐘を鳴らしている。

相関関係が因果関係とイコールではない、と中室氏は述べる。

『因果関係』と『相関関係』、どちらも2つの出来事の関係を示すときに使われる言葉ですが、決定的な違いがあります。

因果関係は「Aという原因によってBという結果が生じた」ことを意味する言葉だが、相関関係は単に「AとBが同時に起こっている」ことを意味しているにすぎず、相関はどちらが原因でどちらが結果なのかを示すものではない

研究の多くは相関関係のみを掲示している

これまでゲームと子供の問題行動に関する研究の多くは、相関関係を証明してはいても因果関係を示していないと中室氏は語る。

「ゲームをするから問題行動が増える」のか「もともと問題行動をおこすような子どもがゲームを好む」のかは分からない。

因果関係が証明されていない段階で判断することは誤りだと中室氏は指摘している。

先日、日本の参議院の文教科学委員会では世界的大ヒット作『グランド・セフト・オート』を例に「凄まじい残虐性」が青少年へ大きな影響を与えるとしてゲーム規制を求める質問が提出された。その一方でアメリカでは現在、ゲームが創造性や忍耐力を培う好影響をあたえるものとして立場を見なおされ始めている。

アメリカでは政府主導でゲームの教育への応用が研究され始めているが、日本におけるゲームの立場は一体どうなっていくだろうか。