和田洋一氏: クラウドゲーミングの可能性

スクウェア・エニックス取締役会長の和田洋一氏は、クラウドゲーミングが今後の主流になっていくと語り、それに向けた自身が現在行っている事業の展望について語っている。

「PlayStation 3とXbox 360の後に新しい家庭用機が出るとは思っていなかった」とスクエア・エニックス取締役会長の和田洋一氏は語った。「次の時代、つまりみなクラウドでゲームを動かすようになると思っていた。だからクラウドを利用すればどんなゲームが作れるのかを模索していました。しかし技術革新的なプラットフォームは登場しなかった。OnLiveがそれに近かったが、残念ながら革新的ではなかった。だから自分たちで創ろうと思ったのです」

OnLiveは米国のOnLive社が開発したオン・デマンド式のゲームサービス。ゲームのすべての演算やレンダリングがサーバー側で行われ、マシンに依存せずプレイできるため、動画を再生できる性能があれば3Dゲームを気軽にプレイできる仕組みを構築している。

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2014年末、和田氏はコンソール時代の終わりを予想していた。実際には次世代機が発売されたが和田氏は必ず今後クラウドの時代が来ると確信し、2013年にシンラ・テクノロジーというクラウドコンピューティングにフォーカスした会社を立ち上げた。

彼はクラウドゲーミングがもたらす革新を世界に見せたいという。

シンラ・テクノロジー社のベースは技術力や資金面から独力でのゲーム開発が困難な開発者に対し、サーバーなどの面から支援し、その代わりに完成したゲームの販売などを管理していくスタイルにある。


この試みの最大の障害とは「その魅力を伝えることが難しい」ことであると和田氏は語る。このサービスを利用することで、ゲーム開発者は要求される技術的ハードルをかなり下げることが出来るが、WiiやKinectのように専門的な知識のない人にもその有用性を理解してもらうことは難しいという。

革新の起点となる起爆剤の必要性

「この技術の素晴らしさを説明するためのゲームがまだないということが最大の問題です。まだシンラは何もできていないに等しい」

和田氏と彼のチームは技術は日々進歩しているが、今本当に必要なのはこのシステムを人々に知らしめるためのキラー・コンテンツであるという。「二年以内にゲームを出す必要がある。そうすれば数年以内にこの技術を周知してもらえる」

和田氏はそのために4つのパートから成るプランが有るという。

まず一つ目。開発者たちに今まで不可能だったことをシンラが可能にすることを伝える。例えば、クライアントとサーバーの同期のための技術チームは必要でないこと。大規模サーバー群を用いてより高度なシミュレーションが可能になることだ。

二つ目のステップはゲーム開発者らにクラウド市場がもつ可能性を説明し、今後の主流となっていくことを理解してもらうこと。

三つ目は、ゲーム開発者の開発をサポートすることだ。和田氏はシンラが自分でゲームを作ることはないという。つまり、他社のゲームという概念は存在せず、すべての開発者が区別されることなくサポートを受けられるという。

四つ目のステップは可能性のあるゲーム開発者への投資だ。

和田氏はすでにシンラ・テクノロジー社の技術を用いたゲームが既に何作も開発中だと語り、その作品たちが持つ可能性は今後ゲーム業界に革新をもたらすものだと確信してるという。

シンラ・テクノロジー社はすでに海外へも展開しており、共にチャレンジをしてくれる開発者を模索している最中だと語り、今後はまず日本とアメリカで基盤を固める方針だという。「私はずっとアメリカと日本の市場が最先端だと思ってきた。この二つの市場は常に世界のゲームをリードする市場で、最も先進的だと思っています」

和田氏は今、プランの達成のためにキラーコンテンツを探している真っ最中だ。和田氏の掲げるクラウドゲーミングの未来は今後どう広がっていくだろうか、シンラ・テクノロジー社の今後に注視したい。

ソース:Polygon, ShinraTechnologies