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「今」の日本のゲーム業界に注目

かつて日本はゲーム業界の牽引役であった。しかし、ここ数年の日本のゲーム業界はモバイルゲームや携帯ゲームなどに注力し、クリエイティブであることをやめ、技術的な進化をやめてしまったと、欧米のゲーム関係者たちから批判されているのが現状だ。

しかし2014年の「TOKYO GAME SHOW」はどうだっただろうか。『ファイナルファンタジー 15』や『Metal Gear Solid 5』『Bloodborne』など、多くのゲーマーを熱狂させるに足る魅力的な作品が次々に登場したことは記憶に新しい。

日本のゲーム業界が復活した、とまではまだ言えない。しかしながらその兆しは見えている。今、日本のゲーム業界に何が起こっているのか、海外メディアが日本のクリエイターたちに取材した模様を紹介している。

日本最大級のゲーム雑誌「ファミ通」を語る

「日本のゲームメディアの一つである【ファミ通】はゲーム販売会社、開発者と深い関係にある」、週刊ファミ通の編集長である林克彦氏が語る。「彼らと一つのチームとなって文章や様々なことを作るんだ。パートナーシップ、運命共同体のようなものだね。そして、ゲーム業界をより良いものにしていく」

毎週金曜日、今週のテーマを決め30-40人もの著者、10人近くのデザイナーが集まって数百ページもの記事を作成する。スタッフは至る所でファイルが山積みになったオフィスで作業し、毎週木曜日にはその週の新刊として発行される。

林氏は20年以上をこの業界で過ごし、最近編集長へとなった。彼は活字媒体の業界全員が直面しているオンラインニュースとソーシャルメディアの人気に伴う今後の課題ついて、日本の独特な文化と共に語ってくれた。

fami2 日本のゲームメディアはアメリカなどとは大きく違った境遇にある。電車での移動が多い日本では通勤時などに雑誌を読むことはライスタイルに組み込まれており、価格も比較的安価だ。確かに印刷される雑誌の数は減ってきているが、欧米に比べるとその速度は緩やかである。

林氏は、週刊ファミ通は以前は本屋よりもコンビニで販売される数の方が多かったが、現在ではその逆になっているという。その原因として氏はインターネットの発達によって、人々が雑誌を求める理由が情報を得るためではなく、雑誌を読むことが目的となっているためではないかと推測している。

また日本と海外のゲームメディアでは掲げている理念や方針も異なっているという。アメリカの多くのメディアではゲーム販売会社による記事への干渉を嫌い、敵対的ですらある独立性を重視したルールを持っているが、日本ではそのようなスタイルはあまり重視されていない

日本では書き上がった記事を、雑誌の販売前にゲーム販売会社が確認することができる。「確かに販売会社と記事の内容について話し合うが、記事の内容すべてを販売会社に委ねているわけではない。主導権を握っているのは常に我々です」

多くの日本のゲーム雑誌もまた、ゲーム販売会社から要請を受けて記事を作成することがある。金額によってページを増やし、ゲームが面白く見えるように記事を書くという。ファミ通の場合、そのような要請を受けての記事にはすべて「PR」との表記が記載されている。

また林氏は、ゲームについて紹介するときはそのゲームのカバーストーリーなどの紹介には販売会社の意向も取り入れる場合があるが、ゲームのレビューに関してはそのような意向は一切影響しないようにしているという。

販売会社と密接に関わることでレビューのスコアが左右されないよう、ファミ通ではゲームを紹介するために販売会社と連絡を取り合う部署と、ゲームのレビューを行う部署は分けて行動させているとのこと。

fami1 週刊ファミ通の海外メディア向けへの翻訳に携わっていたKevin Giffor氏は、ファミ通は80年代と90年代のゲーム雑誌に革新をもたらしたと評価している。

Giffor氏はファミ通の功績として特に任天堂の情報公開の仕方に影響を与えたことを挙げている。ファミ通はそれまで任天堂が自社の公式ゲーム雑誌以外には情報を公開してこなかった状況を大いに変えたという。

中にはファミ通がゲーム販売会社と密接な関係を築き過ぎていると批判する者も存在するが、その関係こそが欧米のメディアとは違う情報へのアクセスを可能にしているという。

普段あまりインタビューに応じないゲーム関係者への取材記事や、ダウンロードコードのおまけなど、欧米ではあまり見かけない独特の経路によるコンテンツがファミ通にはある。

林氏は「ゲーム業界に何が起こっているかを常に取材し、ファミ通に載せていきたい」と語った。

「十年後も、二十年後もファミ通が日本で最大のゲームメディアで在り続けられるよう、努力を続けたい」

ソース:Polygon