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「今」の日本のゲーム業界に注目

かつて日本はゲーム業界の牽引役であった。しかし、ここ数年の日本のゲーム業界はモバイルゲームや携帯ゲームなどに注力し、クリエイティブであることをやめ、技術的な進化をやめてしまったと、欧米のゲーム関係者たちから批判されているのが現状だ。

しかし2014年の「TOKYO GAME SHOW」はどうだっただろうか。『ファイナルファンタジー 15』や『Metal Gear Solid 5』『Bloodborne』など、多くのゲーマーを熱狂させるに足る魅力的な作品が次々に登場したことは記憶に新しい。

日本のゲーム業界が復活した、とまではまだ言えない。しかしながらその兆しは見えている。今、日本のゲーム業界に何が起こっているのか、海外メディアが日本のクリエイターたちに取材した模様を紹介している。

FF15/零式のディレクター・田畑端氏

「驚くかもしれないが、最近私は一日三時間ほどしか睡眠をとれてない。毎日忙しく働いてるよ」と田畑端氏は言う。

no title 「健康に悪いのは分かっているが、そこまでしても作りたい作品なんだ」

自分は過労で早死にするなどと田畑氏は冗談を言うが、彼はその仕事をとても楽しんでいるようだ。発売日の迫る『ファイナルファンタジー 零式HD』と、かなりの長期間開発が行われている大型新作『ファイナルファンタジー 15』の開発に、田畑氏は現在全力で取り組んでいる。

これら二つのタイトルはファイナルファンタジーブランドにとって次世代の幕開けを意味するが、その先に何が待っているのかは田畑氏本人ですら分からないという。

スクエア・エニックスはファイナルファンタジーシリーズに関して明確な方向性を定めておらず、だからこそ多くのテーマ・世界観を生み出せたと語る。「ファイナルファンタジーは何かを決めて作られてる訳じゃありません。はっきりとしたゴールはないんです」

「もちろん制作しているチームは何が作りたいか明確に決めている」と補足しつつ、田畑氏は両作品において、今までのどのシリーズよりアクション性が高く戦略性もあるゲームにしたい、大きな画面でプレイすることで没入感を生み出したいと強調した。

彼が「大きな画面」を強調する理由は彼の今までの作品にある。PSP版「零式」、「クライシス コア」「アギト」と彼が担当した作品はどれも携帯機用であった。今回の両作品は田畑氏にとって初の据え置き機作品となる。

no title 『ファイナルファンタジー 15』は十年近くの開発期間をすでに経ており、その長い開発期間の間でディレクターの野村哲也氏が他作品に注力するためチームを離脱し、田畑氏が後任となるなるなど開発状況を不安視する声があることを踏まえつつ、田畑氏は「零式でディレクターとしての経験は既に積んでいるので心配しないでほしい」と語った。

「零式の開発で短くなった寿命を、15の開発でもさらに削ることになるだろうが、そんなことは問題じゃない」と田畑氏は言う。家族とふれあう時間を削りながらゲーム開発に取り組んでいる田畑氏だが、それでも「世界のAAAタイトルと肩を並べて戦うというのは今まで働いてきた人生の中で最高の経験だ」

「ゲームがリリースされて、反応が返ってくるのが楽しみでしょうがない。開発中、様々な批判や非難もあるだろうが、それをもばねにしてもっと開発に取り組みたい。もちろん、楽しんでくれているプレイヤーの反応を見るのが一番楽しみだけどね」

プレイヤーが自分が作ったゲームを楽しんでくれる、そのことに掛け替えのない価値がある。ゲームを開発している間の困難全てが、寿命を縮めて開発に取り組んだこと全てが、そのことによって報われるのだという。

身を削って開発に取り組む姿勢は、日本のゲーム開発者に特有の心理だと田畑氏は語る。「ファイナルファンタジーは人々に幸せを与えることのできるゲームだ」、多くの人に記憶してもらえる作品を目指したい、そのために持てるものすべてを誇りを持って注ぎ込むゲーム開発者の姿があった。

「最高の経験を提供し、全てを凌駕する。それがファイナルファンタジーの開発だ」

ソース:Polygon