次世代機の発表直後から株価が大幅安

任天堂が10月20日に発表した次世代機”Nintendo Switch“は、同社にとってWii U以来の新型家庭用ゲーム機だが、少なくとも投資家たちからは期待できないと判断されたようだ。

発表翌日の21日、IGNによれば東京株式市場での任天堂の株価は急落し、終値は前日比1765円(6.6%)安の2,5185円となった。株式市場の取引開始からわずか1時間で下落する結果となった。

発表翌日10/21に大幅安となった任天堂

発表翌日10/21に大幅安となった任天堂

Nintendo Switchは期待外れ

問題のNintendo Switchは本体である液晶画面部分と、取り外し可能なコントローラー部分、それに据え置き機能を提供するドックという構成の製品。据え置き型ゲーム機でありながら携帯ゲーム機として持ち運びも可能という「スイッチ」な部分にコンセプトを置いた製品となっている。

しかし、そのコンセプト自体はPSPなどが既に数年も前から外部周辺機器を用いることで実現しており、次世代ゲーム機としての革新さは大半の期待を下回るものだ。このことは株式市場での失望売りの動きからも明らかである。

Nintendo Switch

Nintendo Switch

ドック部分にGPUを別途搭載……はしていないようだ

それでもハイエンドな次世代ゲーム機を望んでいたゲーマーからは、Switchが発表された直後の製品仕様の詳細が明かされていない状態の時点では期待も持たれていた。

「ディスプレイ部分とドック部分の相互にGPUを搭載し、ドック接続中は両GPUを連携するSLIのような機能があるのでは」などの想像が語られ、それなりの高性能さを実現したハードになる期待が持てたからだ。

しかし、任天堂がIGNに語ったSwitchの各パーツが担う機能についてのコメントを見る限り、その想像は実現していなかったようだ。高性能GPUの搭載が期待されたドック部分は、TVへの出力と充電と電源供給を主要機能としていることが明かされている。

ハイエンド志向の多いPCゲーマーにとって、Switchは任天堂IP作品を遊べる端末以外の価値は見出しづらく、十分他に目移りする余地があるという評価にならざるを得ない。

任天堂がPC、PlayStation、Xbox陣営が争うハイエンド市場からまた一歩遠ざかってしまったのは残念だ。

GPUに採用されたNVIDIAの株価は急上昇

さて、任天堂がこうして株式市場における期待感を失った状況に対して、NVIDIAはSwitchの発表で大きな躍進を遂げていたようだ。ちなみに、NVIDIAはPCゲーマーとは切っても切れない存在のPC向けGPUメーカーだ。

Switchの発表と同時に、NVIDIAは本製品の搭載するチップセットに同社のTegraが採用されたことを発表した。

NVIDIAは単にチップの提供だけにとどまらず、アルゴリズムやゲームエンジンなどのあらゆる点で技術提供を行い、任天堂に対してフルカスタムのソフトウェアを提供しているという。

Switchには失望感があるといっても、任天堂は依然として世界中にファンを大勢抱える大企業であり、メーカーとしては文句なしの大口顧客だ。株主からにとっても満足のいく結果だろう。

発表直後に急上昇するNVIDIA株

発表直後に急上昇するNVIDIA株

NVIDIAのNASDAQにおける株価はこの発表直後から急上昇し、発表以前よりも高い水準の価格を維持し続けている。

NVIDIA SHIELDの失敗は無駄ではなかった

PlayStation 4やXbox Oneといったハイエンドゲーム機におけるチップセット争いでは、NVIDIAはライバルのAMDに敗北を喫する結果となってしまったが、今回の勝負では見事勝つことができたようだ。

NVIDIAが以前開発を行った携帯ゲームハード”NVIDIA SHIELD“は、お世辞にも成功とは言い難い地味さでどちらかと言えば失敗と言える。しかしそのノウハウがSwitchに活かせるお陰でチップセットに採用されたのだとすれば、結果的にはSHIELDを開発しておいて正解だったのだろう。

ちなみに任天堂の現行世代機であるWii Uに採用されていたGPUは、ライバルのAMDが提供するRadeon HDであった。

今回のNintendo Switchの発表で最も得をしたのはNVIDIAで間違いないだろう。NVIDIAのここ数年の躍進は目覚ましく、2015年には株価は20ドル前後に過ぎなかったが今では67ドル前後で急成長を続けている。

NVIDIAの株価の推移

NVIDIAの株価の推移