G2A はハッカーに最高と評価されている

ゲームキー再販業者の G2A は最近、不名誉なニュースでたびたび話題となっている。ある時には盗まれたゲームキーが数多く出品されているとゲームデベロッパーから告発され、あるゲーム開発者は消費者に対して「G2A を利用するくらいなら海賊版を遊んでくれ」と発言して注目を集めた。

現在のところ G2A はそうしたゲーム業界各所からの反発に対して、すべての売り上げの 10%をゲームデベロッパーに対して支払うことを明言し、ひとまずの落ち着きを見せていたが、Kotakuの行ったハッカーへの取材からまた新たな不名誉が飛び出してきた。

Gamasutraによれば Kotaku が取材を行ったのは、成人向けヴィジュアルノベルのローカライザー MangaGamer から大量のゲームキーを盗んだブラジル人ハッカーだという。彼は「G2A を盗んだゲームキーを売るには最高の場所」と話している。

このブラジル人ハッカーは MangaGamer から不正に何百ものゲームを盗品クレジットカードを用いて購入したと話しており、MangaGamer に対して何万ドルもの損害を与えたという。そしてゲームキーは G2A で販売された。

ゲームキー再販業者の欠陥

Steam や GOG のような PC ゲーム販売サービスでは、デベロッパーやパブリッシャーが価格を設定し設定された利益を受け取っている。しかし G2A のようなタイプの市場では、eBay のように個人のユーザーがそれぞれ自身が持っているゲームキーを販売することで成り立っている。

これらはゲームのスペアキーであったり、何らかの理由でユーザーが不要としたゲームキーが販売されることが多いが、Steam などとは違いそのゲームキーの出所は必ずしも合法的であるとは保証されていないことが問題となっている。

MangaGamerの取り扱い作品例

MangaGamer の取り扱い作品例

ゲームキーの盗難がパブリッシャーに与えるダメージ

MangaGamer は今年2月にハッカーによって受けた被害を説明している。

「突然ある IP アドレスが新規アカウントを作成し、ゲームを 30 本も購入し返品を行おうとしていることを発見した。なんでそんなことをするんだ?明らかに普通のユーザーの行動ではない」と MangaGamer の PR ディレクター John Pickett は語る。

直ちにアカウントの停止措置が取られたものの、別のアカウントが新たに生まれるだけだった。ゲームの購入には異なるクレジットカードが用いられ、その数は増加の一途をたどった。MangaGamer にとってこれは猛烈な殴打に他ならない。クレジットカードが盗品であったことで支払処理に不備が生じるたびに MangaGamer には支払取り消し金が課せられる。

金融機関が課す莫大なペナルティ

「支払取り消しが 40 ドルのゲームの購入対して発生するとき、我々はキャンセルされたことで 40 ドルの売り上げを失い、しかも 30 ドルのペナルティを課せられる」と Pickett は語る。「100 個の違法な購入が行われれば、それは 3,000 ドルの損失だ。30,000 ドルの損失ならば 1000 キーが盗まれたことを意味する」

類似として Humble Bundle のスポークスマンは、2012 年に 24 時間で支払取り消し金によって 34,000 ドルの損失を被ったことを明らかにしている。

Kotaku ではこの一連の騒動によって MangaGamer は契約していた支払機関から追放され、オンライン上で決済を行いゲームキーを販売することが不可能になったと伝えている。新たな契約先を見つけるまでの間を Pickett は悪夢であったと語る。

ハッカーが利益を生む方法

取材に答えたブラジル人ハッカーは、政府ウェブサイトなどに攻撃を仕掛けている Proto Wave と呼ばれるグループのリーダーを名乗り、今回の MangaGamer への攻撃からどのように利益を得るのかを説明している。

ハッカーによれば利益は盗んだゲームキーを販売することによって得ているという。クレジットカードが盗品であることが発覚するまでには時間差があるため、それまでの間にゲームキーを売り払ってしまうのだという。「これは非常に簡単だ。銃なんか使うこともなくただ指を少し使うだけでいい」

ゲームキーは G2A のようなマーケットプレイスを備える市場で売りさばくという。買い手には自分が買ったゲームキーが違法かどうか知るすべがなく、違法だと発覚するまでに捌くことはたやすいとのこと。

ハッカーは MangaGamer から盗んだゲームキーを G2A で販売することで 500 ドル以上を儲けたと話している。「G2A は盗んだゲームキーを売るには最高の場所だ。早くて簡単な商売ができる」

構造的な欠陥からの帰結

PC Gamerはこの件に対してまさに問題の核心だと評している。

「人々は安いゲームを望む。不道徳な一部の人々がそれらを提供することは簡単だ。G2A のようなサイトが必ずしも違法なことをしていなかったとしても、そこを不道徳な人々は利用しに来る」

G2A をはじめとしたゲームキー再販業者への反発はまだまだ当面続きそうだ。Kotaku にて詳細なレポートが掲載されている。