ソードアート・オンラインの世界観を現実に

「ソードアート・オンライン」(SAO)という作品を知っているだろうか。川原礫氏によるVRMMORPG技術が広く一般に普及した世界を描くライトノベル作品だ。

VRMMORPG、バーチャルリアリティ技術を用いたMMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)ゲームは空想の世界に限った技術だけではなく、近年ではOculus RiftやPlayStation VRなど爆発的に流行の兆しを見せ、現実的に実現も目前に迫った未来でもある。

そして2016年2月23日、IBMはソードアート・オンラインと提携し、作中で描かれるバーチャルリアリティ・ゲームの世界観を再現する”ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM“を発表し、同時にアルファテスターの募集を開始している。

このコラボレーションについてIBMは、テスター参加者自らをスキャンした3Dモデルをアバターとしてゲーム上に再現し、バーチャルリアリティ空間上で繋がれたほかの参加者らとともにゲームイベントを体験できる革新的なオンライン・システムを提供すると説明している。

ソードアート・オンライン abec画集
abec
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VRMMORPGを実現するIBMの技術とは

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IBMはこのコラボレーションには2つの重要なIBMの技術が用いられていると説明する。ひとつは「IBM Watson」、もうひとつは「SoftLayer」と呼ばれるものだ。

IBM Watsonとは、IBMが提唱する次世代のコグニティブ。コンピューティングシステムの名称であり、以前IBMがSTEINS; GATEとコラボした際にもフィーチャーされた技術であり、人の意思決定をサポートする独自技術となっている。

「プログラムに依存する従来のコンピュ­ーターとは異なり、自然言語を解釈し、蓄積した膨大な知識や経験から学習。そして私たちの意思決定を支援し、可能性を拡げる」

SoftLayerとは、IBMの高性能クラウドサービスの名称で、現実世界と同等の臨場感を創り出すハイパフォーマンスなクラウドシステムだと説明がなされている。


WatsonがSAOとのコラボで発揮する力

開催されたIBM InterConnect 2016の講演にて、登壇したIBM Cloud責任者のRobert J. LeBlancは「クラウドは終着点ではない。それを使ってイノベーションを起こすもの。破壊されるのではなく破壊しなければならない」と語っている。

同セッションにてIBMはソフトウェアをクラウド化、200以上のクラウドサービスを発表しクラウド技術の展開を推し進めており、今回の”ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM”の発表はそれを象徴するものだ。

日本IBM技術理事の武田浩一氏はインタビューにて、WatsonがSAOとのコラボレーションにて発揮する力について語っている。

『ソードアート・オンライン』の世界とIBM Watsonと言うのは、どういった部分がリンクしていくと思われますか。

Watsonのような技術は、対話を通した人とのコミュニケーションや音声・画像の認識、人が見る・話す・聞く等の機能に集約していくと思います。その時に知りたいこと、自分が考えていることをWatsonと共有する。この世界についてもっと詳しく知りたい思ったときに、人と話すようなインタラクションをシステムでカバーするので、知的好奇心などの欲求をその場面でタイムリーに満たす支援ができます。

VRとIBM Watsonが組み合わさった場合、どのようなゲームが展開できるとお考えでしょうか?

1つの設定されたシナリオ内でユーザーがプレイするというような、枠組みをある種決められたゲームに対して、NPCみたいな偶発性のあるキャラクターをWatsonで作るとか、これまでの体験に合わせてゲームをどんどんパーソナライズするところには使えそうな気がします。

現実のWatsonでは、その人個人に合わせた処方や教育法、カリキュラムをつくる方向に向かっているので、その方向で考えると、よりパーソナルなゲームという方向に行くのかなと思います。

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IBMが掲示する未来の可能性

従来のゲームでは全プレイヤーに共通のシナリオを提供し、そこから遊び方を考えるという構造であったが、今後は最初からユーザー毎にカスタマイズされたものを提供できる可能性があるとインタビューでは語られている。

何もかもを自由にした上で、プレイヤーが迷うことのないように導く存在としてWatsonが有効に利用できるのではないかとのこと。

IBMはこのコラボレーションにて、最新技術がいかに人々の生活やビジネスに変革をもたらすのか、テクノロジーが開拓していく未来と将来の可能性について体感してほしいと意気込んでいる。

“ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM”は2016年3月18日から20時にアルファテストが開催される予定となっている。

2016年春。≪ソードアート・オンライン≫創生の秘密が、ついに紐解かれる―――。

天才プログラマー・茅場晶彦が思い描く革新的次世代ゲーム≪ソードアート・オンライン­(SAO)≫は未だ理論に留まり、その開発は行き詰まりを見せていた。しかし、ある企­業のとある技術との出会いによって、状況は大きく変化しプロトタイプの完成にこぎつけ­た……。

そしてついに、≪SAOアルファテスト≫の実施とテスターの募集が始まった―――。