80%の作品はほとんど稼ぎがない

Steam を用いた 2019 年のゲーム販売に関する統計調査が発表された。

調査はイギリスのパブリッシャー No More Robots の Mike Rose が行ったもので、「平均的なゲームは初年度に 1,500 本を販売し 16,000 ドルを売り上げる」「前年比で 47%売れにくくなっている」ことが判明したと伝えている。

統計で使用したデータ

統計では Steam で一般的に取得できる情報を基としており、スクリーニングのため以下の条件を使用している。スクリーニング後の件数は約 170 本とのこと。

  • 2019/7/5~86 までに Steam で発売された約 900 本を母体データとする
  • レビュー投稿数が 10 件に満たない作品を除外する(約 700 本が除外対象となる)
  • AAA 級の作品を除外する
  • 収益の上位 5%と下位 5%を除外する

2018 年と 2019 年の比較

#(中央値/平均値) 2018 年 2019 年 変化率
販売本数 5000 / 25,000 1,500 / 3,000 -70%
売上 $30,000 / $275,000 $16,000 / $46,000 -47%
初年度価格 $12 / $13 $10 / $11 -

※2018 年の統計は Rose が同様の条件で調査した際のもので、GDCにて昨年度報告している。

結論の概要

  • Steam 上のゲームはリリース初年度に平均 1,500 本を販売し、$16,000 の収益を得る。
  • 2019 年にリリースされた作品の収益は、2018 年にリリースされた作品の約半分に収まる。
  • ゲームの販売価格が高いほど平均的な収益は向上する。(多くの作品の現在の販売価格は安すぎる)

この結論の背景として Rose は無料ゲーム(Fortnite や Lol)をプレイする人口が増加したこと、月間リリース本数が増加の一途にあること、サブスクリプションサービスなどによって未消化作品が積み上がっていることを推察している。

データのスクリーニングでは約 80%の作品が除外となっている。最も多くの作品を除外することとなったレビュー投稿数が作品の売れ行きと比例すると仮定した場合、除外となった作品のほとんどは調査で判明した数字よりもさらに悪い結果となっていると予想される。